第1章 情報教育に関するカリキュラムの構成

 

1.情報教育の必要性と意義

 21世紀に向かって高度情報化は一層進展し、家庭・地域社会、学校社会、産業社会を取り囲む垣根や国と国との間の垣根が低くなり、従来の分節的な社会構造からクロスオーバー型の社会構造へと変換していくことが予測されます。これは教育の多様化、弾力化への二一ズをより一層喚起すると思われます。
 ところで、教育に求められる重要な機能は、過去の文化遺産を継承するとともに次世代を担う人材を育成することにあります。この人材育成においては、将来を展望し、先見性に裏打ちされた教育理念の下で教育内容と枠組みを構想することが重要であります。主体性、創造力、情報発信力、自己表現力といった新しい学力観や、協調性、共感性、思いやり、責任感といった社会性が叫ばれていますが、新しい環境への積極的な適応と、さらなる創造は、将来の人材育成においては極めて重要な国家的課題でありましょう。

 情報に関する教育においても、従来のような技術者としての専門教育だけでなく、情報を自らの目的に即して的確に判断し、処理し、伝達できる総合的な能力の育成(情報教育)が求められています。既に文部省による先見的な認識に基づく多大な努力がなされてきましたが、情報教育を真に実効あるものとするには、その内容、方法、評価においても、従来の教科の枠を越えた新しい枠組みのカリキュラムの実施が不可欠であります。
 欧米諸国はもとより、シンガポール、マレーシア、韓国などのアジア諸国でも情報教育カリキュラムの整備とそれを支えるインフラの充実が行われており、今、日本でも早急に体系的な情報教育を実施するための環境整備が必要であると認識し、研究・実践を蓄積しているものであります。特に日本の情報教育の現状を評価すると、今後、小・中・高の学校に独立した教科目として情報教育を位置づける必要があります。そのためにも小・中・高一貫した、整合性のあるカリキュラムの整備とその制度的実施の枠組みを確立する必要があります。そこで以下のような要望をする次第であります。
 

2.情報教育に関する要望


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