第2 各段階における目標と内容
【低・中学年】1 目標
(l)映像・音声の記録や文章・図形の作成等を中心として、主体的な表現活動をしようとする態度を育てる。
(2)課題の解決などのために情報を収集・整理し、利用できる基礎的な情報活用能力を養う。2 内容
(l)情報の基礎的な処理
ア 情報機器の基礎的な取扱い方法 イ アプリケーションソフトの簡単な利用 ウ 文書の保存及び検索
(2)情報の収集及び整理ア 情報の収集と簡単な検索 イ 情報の分類と整理
(3)モデリングア モデリングやシミユレーションへの関心
(4)計測と制御ア プログラム可能な玩具の制御 イ 制御のための簡単なプログラム
(5)身の回りの情報ア 実生活での情報機器の扱いや情報技術の体験 3 内容の取扱い
(l)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 他教科との関連を十分考慮するとともに、コンピュータ、マルチメディアなどを利用した表現と伝達手段の基礎を体験的に修得させること。イ 情報機器の利用の体験を積ませるとともに、情報の扱いや情報を選択・分類・整理する視点などに興味や関心をもたせ、実生活の中での情報の役割について体験的に理解できるよう指導の工夫をすること。
ウ さまざまな情報のもとで、創造的活動や調べ学習に基づく実社会との触れ合いなどを通して、主体的な表現活動を展開できる環境を整備するとともに、共同学習などを通して社会的態度の基礎を養うこと。
(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(1)については、情報機器の扱いの最も基礎となる部分として位置づけ、自らの表現活動を豊かにするための情報の収集・整理・処理等を、実際の操作を通して行えるようにすること。イ 内容の(2)については、内容の(l)とも関連させながら、自分の創造した情報及び収集されている情報を整理し、伝達、再利用するための基礎的な段階と位置づける。そうした活動の中で、分類や検索の視点について児童自身に気づかせるような指導の工夫をすること。常に情報機器を利用させる必要はない。
ウ 内容の(3)については、例えぱ、ゲーム、地図、実物のモデルなどを通して、モデリングについての興味・関心を高めるような指導をすること。モデルの意味を教えるのではなく、体験的な学習を通して、モデルやシミュレーションのもつ良さを体感できるようにすること。
エ 内容の(4)については、プログラミングそのものの指導ではなく、情報の伝達が、対象にどのような影響を与えるかを具体物を通して体験させ、自分の意図が結果に反映されているかを簡単に評価させるようにすること。
オ 内容の(5)については、実生活の中での情報の利用を中心として、情報とは何かについて概念的な定義をすることはなるべく避け、地域社会の状況を考慮に入れながら、情報のもつ役割に気づかせるようにすること。
【高学年】1 目標
(l)広域ネットワーク(インターネットなど)を利用してコミユニケーションの幅を広げるとともに、映像・音声・図形・文字情報を収集、整理、処理、創造、伝達できるような、情報活用能力を養う。
(2)さまざまな状況のもとで、さまざまな情報を扱う経験を通して、協調性や責任感、思いやり、情報倫理等の社会的態度を育てる。2 内容
(l)情報の処理と伝達
ア 受け手を意識した情報の発信
イ さまざまな情報の合成
ウ 情報の創造
エ さまざまなコミュニケーションの手段
オ 広域ネットワーク(インターネットなど)の利用
(2)情報の収集及び整理、処理
ア データベースの構築及び検索
イ 情報収集のための手段の工夫
(3)モデリング
ア モデリングやシミュレーションへの興味・関心
イ 予測のための簡単なコンピユータモデルの利用
(4)計測と制御
ア 制御モデルに基づく事象のモデル化の例
イ プログラミングとデバッグ
(5)情報と生活
ア 実生活での情報の扱いとその評価
イ いくつかの状況での情報技術の利用
ウ 基本的な情報モラル
エ 情報の管理とプライバシー3 内容の取扱い
(l)内容の構成及びその取扱いに当たっては、次の事項に配慮するものとする。
ア 低学年での学習の状況を考慮しながら、コンピュータ、マルチメディア、広域ネットワーク(インターネットなど)を利川した表現と伝連千段の基礎を修得させ、情報を創造する能力を養うとともに、情報発信や表現と伝連のための工夫をさせるようにすること。
イ 情報の受信者・発信者としての立場を理解させ、それぞれの状況の中で、情報の適切な利用について考えさせるよう工夫すること。
ウ 社会の構成員の一人としての役割を認識させ、環境の中での情報の持つ意味や環境と情報の相互関係について気づかせるとともに、具体的な活動の中で協調性や責任感、思いやりなどの社会的態度の育成を図ること。(2)内容の範囲や程度については、次の事項に配慮するものとする。
ア 内容の(l)については、情報にかかわる受信者・発信者の立場を念頭において、それぞれの立場からの情報の利活用について考えさせること。創造した情報を、いかにして相手に伝えるか、相手がどのような情報を欲しているかという視点から情報の扱いについて認識させるように指導の工夫をすること。 また、コミュニケーションの幅を広げ、情報収集、情報発信のための手段としての広域ネットワーク(インターネットなど)の有効性を、実際の利用を通して経験させるようにすること。
イ 内容の(2)については、低・中学年での内容から一歩進んで、情報を樺造的にとらえる能力を身につけさせるようにすること。また、必要な他の情報は何か、その情報を収集するための手段として何があるか、どのような工夫をすれば効率的に情報が集められるか、といったことを個人単位のみではなく、グループなどで考えさせ、実行できるように工夫すること。
ウ 内容の(3)については、例えば簡単なコンピユータモデルを利用して、事象の予測や仮説の検証のための手段としてのモデルの位置づけを認識させ、モデルやシミュレーションの有効性について気づかせること。
エ 内容の(4)については、制御モデルを用いて一連の命令を創造し、その結果を他の人と比べるといった活動を取り入れるようにすること。
オ 内容の(5)については、社会における情報技術の役割を認識し、ある状況の中で情報技術が利用される理由を理解させること。また、日常生活の中での情報との関わりをもとに、情報技術の果たす役割と、社会に及ぼす好ましくない影響という両側面から、情報の持つ正負の面をバランスをとって扱うとともに、いくつかの具体的な事例を通して、情報に関してのみではなく、自分の言動には責任をもち、他者の権利を尊重するという人間としての基本的な態度を養うようにすること。