2 中学校における実践

A.兵庫教育大学附属中学校の事例

1.情報環境

(1)コンピュータマッキントッシュ
(2)台数4台
(3)配置集中(学校教育研究センター)
(4)ネットワークの形態センター内LAN + 512Kbpsで本部キャンパスと接続
(5)サーバWWWサーバ(UNIX),cacheサーバ(UNIX),Mailサーバ(UNIX)
(6)アカウント(ID)学生は共通アカウント,教師は個人アカウントを使用
(7)コメント

 兵庫教育大学の全ての附属学校には,大学の学内LANに接続された校内LANが敷設されており,教官,事務官等はWWWビューア,電子メール等を自由に利用出来る環境にある。 校内には40台規模のパソコン教室はあるが,これらのコンピュータは校内LANに接続されていない。 生徒らが校内でインターネットの資源を利用するためには,【図3-2-1】に示すような教官室,視聴覚教室等の特別な部屋に1台づつ設置されたLAN端末を,特別な許可を得て利用する必要がある。

 兵庫教育大学は,大学本部が置かれている嬉野台と,学校教育研究センターと附属学校園が置かれている山国地区の2つのキャンパスから構成されている。 【図3-2-2】に示すように山国地区キャンパス内LANはEthernetで組まれた3セグメントからなり,学校教育研究センタードメインと附属学校園ドメインの2つで構成されている。

2.支援体制

 校内LANについては,【図3-2-3】に示す学内LANの一部として情報処理センターがネットワーク設計,施設した。 また,学内LANのユーザ登録等も情報処理センターが受けつけている。 各計算機の環境設定をはじめ,情報処理センターの山国地区における作業は学校教育研究センター教育工学分野が代行しており,【図3-2-2】に示すように付属学校園用のサーバは学校教育研究センターのネットワーク内に設置されている。

 付属学校園のLAN端末の設定,管理等,機器操作に関するすべての作業を学校教育研究センターが支援している。 また,授業等教育実践で複数の学内LAN端末を利用する場合には,【図3-2-4】,【図3-2-5】に示すセンター内の教育工学実験室に設置されているパソコンを利用に供している。
 この他,学校教育研究センターでは,付属学校教員向けの電子メール利用やホームページ作成の講習を行うなどの支援を行っている。

3.実践の意図

 兵庫教育大学では,アメリカのヴァンダービルト大学,ウィスコンシン大学大学,韓国のソウル教育大学,大邱教育大学と協定を結んでおり,教官や大学の学生だけではなく,附属学校の学生どうしの交流も行ってきた。これまでは,生徒どうしが手紙やビデオテープ等を通常の郵便を利用して交換しあい,相互の理解を深めるという活動を行ってきた。今回LANが整備されたことから,これまで交流に利用してきたメディアにインターネットを新たに加えることで,より活発で柔軟な相互交流が行われることを目指している。そのため,【図3-2-6】に示すような交流のための学級用ホームページを作成している。

4.学習活動

(1)学年   3年生
(2)教科   英語
(3)単元領域 (国際交流)
(4)具体的活動
 英語の授業の一環としての国際交流を行う足がかりとして,それぞれの生徒が各自のホームページを英語で作成する。ホームページの内容としては最初に自己紹介のページを作成し,趣味等を掲載し生徒相互の親睦を深めるきっかけとする。次に,相互の学校生活や日常生活の紹介などを掲載し,日本文化,日本事情に関する身近で具体的な話題の提供を行う。これらのページを見ることで抱いた疑問点等を電子メールを使いお互いに質問,回答をすることで交流を促進し,相互理解を深めあう。

5. 成果と課題

 教室の掃除や昼食の取り方等の学校生活の差から,両国における文化や教育感の違いを意識化することができた。自作したホームページをもとにした話題の展開や,電子メールを利用して比較的に簡単に自分の抱いた疑問を相手へ質問できるといったメディアの特性から,生徒たちの活動参加がこれまでよりもさらに積極的になってきた。安全上の配慮から電子メールは教科担任の教師経由で交換をしてきたが,生徒間の交流が活発になるにつれ教師の処理作業量が間に合わない状態になってきている。今後の課題としては,基礎的な情報処理教育を行い,各生徒個人で電子メールを交換できるような環境を整備,構築していく必要があろう。

(森広浩一郎:兵庫教育大学学校教育学部)


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